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0 :ハムスター速報 2024年09月14日 22:17 ID:hamusoku
〝安楽死〟は家族のため―― 「死にたい」娘のエゴ、「生きてほしい」親のエゴ 涙ながらに口に入れた致死薬

難病のCIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)を患うくらんけさんは、手首から先と足を動かすことができない。両親に介護されながら一日の大半をベッドで過ごしているが、この日は私の訪問に合わせて、外出してくれた。

「介護する両親は老いていく一方で、私は強い罪悪感を感じながら生活を続けています。安楽死が認められたことで、ようやく人生を終えることができ、解放感でいっぱいなんです」

壮絶な闘病生活 激痛にパニック障害
両親と2人の姉をもつくらんけさんは、末っ子として家族から溺愛されて育った。しかし、6歳の時にCIDPと診断されたことで、幼くして壮絶な闘病生活が始まることになる。

ステロイド薬の大量投与と免疫療法など、あらゆる治療を尽くした。その度に頭痛や発熱、吐き気などの副反応に襲われた。

全てをなげうって支えてくれる両親に「悲しい顔をさせてはいけない」との思いから、どんなに痛みが伴う治療や検査でも涙を流さずに耐えた。小学生の頃から「全ての感情に蓋をしてきた」という。

6歳から20年以上にわたる治療は、激しい苦痛にも関わらず目立った効果がなく、心を徐々に蝕んでいった。

検査に伴う副反応で鼻の粘膜を削り取る手術をした際は、激痛がトラウマとして残り、パニック障害にまで発展してしまったという。

幼い頃から感情に蓋をして「頑張り屋さん」と認識されていたくらんけさんが、泣きわめく姿を周囲に見せるようになる。彼女がこれ以上の治療を望まないことを伝えると、主治医からは完治の見込みはないと、はっきり告げられた。

この頃から、安楽死の選択を考え、家族にも伝えるようになった。CIDPは投薬を続ければすぐに命に関わる病気ではないが、終わりが見えないことが何よりも辛かったという。

家族全員が安楽死に強く反対した。特に両親は「一生懸命育ててきたかけがえのない存在。どうしても死んでほしくない」と懇願した。

だが、くらんけさんにとっては、そんな大切な家族だからこそ、「両親や2人の姉に介護させる一生なんて、絶対に嫌だ」と譲らない。

最終的には両親も「親のために生きてくれとまでは言えない。賛成はできないが、自分たちのエゴで反対もできない」と折れてくれた。

くらんけさんは、海外で安楽死を認めてくれるスイスの団体に申請し、2019年10月に許可が下りた。「これで全てが終わる」と解放感に包まれる一方で、家族への一抹の不安を心の奥底にしまい込んだ。

「私がいなくなった後、この両親はちゃんと生きていけるだろうか」

スイスに到着した翌日、安楽死を認める最終審査の結果が出ると、それまで平静を保とうとしていた父親に変化が生じた。深夜、突然、震え出して、娘に隠れて泣いていた。

「発狂しそう」と呟き、寝ている娘に「手をつないでほしい」と頼むこともあったという。父親の傍らでは、くらんけさんもほとんど眠ることができなかった。

安楽死当日、安楽死団体「ライフサークル」(現在は新規会員の受け入れ終了)の施設で、代表のエリカ・プライシック医師と最後の意思確認が行われ、父親も同席した。

「心の準備はできていますか」と尋ねるプライシック医師に対し、くらんけさんは「まだ迷っています。自分1人だけならば100%死にますが、どうしても両親の顔を浮かべてしまいます」と涙をこぼした。

ここでプライシック医師は、父親に意見を求めた。

「親が娘の安楽死を許さないのがエゴなのか。それとも娘が死にたいと思うことがエゴなのか。お父さんはどう思いますか」

「少しでも生きる可能性を見出してやる。それが親の務めです。日本ではその責任もあるし、そういう社会です」

答えを濁す父親に対し、くらんけさんは苛立ちや悔しさから慟哭し、怒気を含めて言った。

「もう回答になっていない。私は安楽死します」

安楽死の準備が整った。くらんけさんは父親の手を借りて、リクライニング式のベッドに上がった。

傍らに立った父親は「再生医療とかいろいろ試したかったけれど、それを待つにはもう先が長すぎるかもしれないね。あなたの気持ちを尊重するよ」と言った。そして、娘の手を取り感謝の思いを告げた。

「パパの娘で生まれてくれてありがとうね」

一瞬たりとも娘の姿を見逃すまいとする父親の視線に、くらんけさんは「パパ、恥ずかしいから、あんまり、じろじろ見ないでよ。みんなによろしく、と伝えてね」と精一杯の笑顔で返す。彼女の目からは、大粒の涙が溢れていた。

スイスでは医師が患者に薬物を投与して、死に至らせる行為は禁止されているため、処方された致死薬を、患者本人が体内に取り込む必要がある。

くらんけさんは、プライシック医師から処方されたコップに入った致死薬入りの液体を、ストローで吸い込んだ。口の中で1滴、2滴と強い苦みが広がっていく。「やっと楽になれる」。

父が娘の手を握り、目を真っ赤にしながらもその最期を見届けようとしていた。

くらんけさんはその時ふいに、痛いほど自分の手を強く握る父親の気持ちを想像して、いたたまれない気持ちになった。さらには日本に残してきた母親や2人の姉、かわいがっていたペットの顔が走馬灯のように甦り、急激な罪悪感に襲われた。それ以上、涙でむせて、致死薬入りの液体が飲み込めなくなった。

異変に気付いたプライシック医師が、泣きじゃくるくらんけさんに尋ねた。

医師:「どうしたの」

くらんけさん:「私は両親や家族を無視することができません」

医師:「ストップして。あなたはお父さんと一緒に家に帰るべきよ。あなたは心の準備ができていない。今、死んではいけないわ」

くらんけさん:「ごめんなさい」

医師:「大丈夫。あなたは両親にこんな仕打ちをしたくないと思っているのよ。とても勇敢だわ。運命があなたにもう少し生きることを望んだのよ」

くらんけさん:「はい」

その瞬間、父親は嗚咽しながら、娘を目一杯の力で抱きしめた。

安楽死を直前で取り止めたくらんけさんは、口に含んだ致死薬を吐き出し、1時間ほど横になった後、私に話をしてくれた。

「今まで家族に助けてもらったことが、揺らぎの要因です。今日死ななかったことを悔やむ日が絶対に来ると思います。それでも、家族との時間を優先しようと思うのも私の選択です」

2度と来ることはないと思っていたチューリッヒ空港には、くらんけさんと車椅子を押す父親の姿があった。スイスに降り立って以来、終始、強張った表情をしていた父親は、別人のような笑顔を見せた。

スイスで安楽死しようとしたくらんけさんが、日本に戻ってから3年。私は2024年2月、再び九州地方に住む彼女のもとを訪ねた。

「あの時、死んでおけばよかったという思いは日増しに強くなっていて、ただ後悔するばかりの日々です。死ななかったからといって病気が治るわけではないし、あらためてそれを突きつけられた気がしました。今も安楽死したい思いは、全く変わっていません」

彼女は今も「死にたい自分」と「生きてほしい家族」の狭間で生きている。そんな彼女に、私は「あなたにとって、家族とは何ですか」と尋ねた。

「家族は私の生命線の最後の砦です」


https://news.yahoo.co.jp/articles/bfb578c731293878e69ccd86319060aff9628e31?page=4



2:ハムスター名無し2024年09月15日 00:25 ID:tMp02Pic0
すごいな・・・
最後の選択も現実感ある



3:ハムスター名無し2024年09月15日 00:27 ID:IpO4tg6E0
死んだら極楽に行けるという宗教は生まれるべくして生まれた概念なんだなって



4:名無しのハムスター2024年09月15日 00:28 ID:yE33Qhtv0
切ねぇ。
チャンスは逃しちゃいけぇ



5:名無しのハムスター2024年09月15日 00:30 ID:w.B5Mq5h0
どちらの気持ちもわかってつらすぎる…



6:名無しのハムスター2024年09月15日 00:30 ID:Bog7RURa0
辛いな、当人も家族も
他人がどうこう言えないのは重々承知だが、きっと良い家族だこらこそのこの選択になったんだろう



7:ハムスター名無し2024年09月15日 00:31 ID:QdT.pImR0
壮絶だ……何とも適切な言葉がでてこない……



8:名無しのハムスター2024年09月15日 00:31 ID:okzmeGiK0
思い直して今は前向きになったみたいなハッピーエンドかと思ったら違った。
どちらの立場も分かるし難しいし悲しい問題だよね。



9:ハムスター名無し2024年09月15日 00:31 ID:NZTZEnMR0
マンガやドラマみたいにはいかないもんだな
どっちの気持ちも分かるし気の毒すぎる



10:名無しのハムスター2024年09月15日 00:31 ID:B0yk3stg0
痛みに耐えて人の気持ちを尊重出来るのは健康な人間でもきついのに凄いことだ



11:名無しのハムスター2024年09月15日 00:32 ID:MHR7mCT70
人生の本質は結局自分の為じゃなく他人の為だからな



12:ハムスター名無し2024年09月15日 00:32 ID:Fjdsyvea0
家族の愛と葛藤、そして生きることの意味について深く考えさせられるな



15:ハムスター名無し2024年09月15日 00:33 ID:FvBuB6Ud0
なんで死の瞬間に考えてたこと分かるのかと不思議に思って読んでたら、
直前で取りやめた方の体験談なのね。当人の言葉は壮絶だわ



16:名無しのハムスター2024年09月15日 00:34 ID:pxIwglGG0
せめて、辛い日々の中でもより多くの幸せを見出して欲しいわ…



17:ハムスター名無し2024年09月15日 00:35 ID:phZ.QfZZ0
それでも、何時でもスイスで楽になれるって選択肢があるという事実は精神的な救いになるのかも

TBSの報道って時点でバイアス掛かってそうに見える
それ位に今のマスコミには信用が無い



18:名無しのハムスター2024年09月15日 00:36 ID:62xpmlOy0
安楽死、全然楽じゃないね。
薬でも、引き金を引くのも、飛び降りるのも結局は自死。
苦痛が一瞬だとしても、文字通り死ぬほど苦しいに決まってる…




19:名無しのハムスター2024年09月15日 00:37 ID:8tXrBwnD0
親か子のどちらが先に死ぬかのチキンレース



21:名無しのハムスター2024年09月15日 00:39 ID:mtRG4fT90
どっちの気持ちも想像でしかわからないものだけど、切なすぎる



24:名無しのハムスター2024年09月15日 00:39 ID:7kfHM2ge0
どちらの気持ちもわかる
人が生きることはいつだって感情的快楽と社会的負担のせめぎあいだ



25:名無しのハムスター2024年09月15日 00:40 ID:O0xPZqEX0
家族は生命線っていうの、わかるなあ



27:名無しのハムスター2024年09月15日 00:40 ID:iXm58Oky0
土壇場で辞めちゃうのも、それで結局後悔しちゃうのもかなり生々しくて惨い



35:名無しのハムスター2024年09月15日 00:43 ID:fF.NIqUx0
自分も数年前にある難病を発症したから気持ちはわかるよ…。
つい数日前までは普通に日常生活を送れてたのに、
なんで宝くじ以上の確率が自分に当たったんだろうとか思う。
と、同時に夫や家族たちがこの難病にならなくてよかったとも思ってる。



36:名無しのハムスター2024年09月15日 00:43 ID:1NNH9tDn0
親がここからまともに生きていけるとは思えないが
生き地獄よ



37:名無しのハムスター2024年09月15日 00:43 ID:joh9KAnS0
こういう話が1番怖い
幽霊とか都市伝説なんかより、やっぱ病気は現実突きつけてくるな。自分も明日なる可能性もあるし



40:名無しのハムスター2024年09月15日 00:46 ID:zPhel4fJ0
妻を難病で亡くした者です。
死にたいと言う妻と何度も話しをしましたが、気持ちを理解すればする程、妻と私の立ち位置の違いがはっきりする日々でした。気持ちを肯定したいですが死んでも欲しくない。分かりあっても解決しないんです。
最期は突然でしたが、末期がんと違って誰もいつ終わるか分からない日々で、妻も記事の方のように頑張り屋でしたが、最後は精神的に不安定になっていました。

私にとって何より絶望的なのは、ドラマや映画のように妻の死で終わるわけではなく、その後もずっとどうしたら良かったのかという気持ちが続く事です。数年経ちましたが気持ちの整理が全く出来ていません。
難しいです。




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